2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「孫文、香港に到着」

20世紀初めの香港。薄暗く狭い部屋。小さなテーブルを囲んだ十数人の同志を前に、孫文が決意を述べる。「幸福を勝ち取るために、痛みは避けられない。その痛みこそ、革命なのだ」 孫文暗殺計画を描いた「十月圍城」。5分を超える最新版予告編を、今日初めて…

将たる顔

“香港導演三剣客”のインタビュー、文章に添えられた3人の写真が素晴らしい。それぞれ個性を生かしたワンショット。 馬偉豪(ジョー・マー)はカジュアル。紺の麻ジャケット、白地に細い赤のストライプシャツ、ジーンズにサンドブーツ。椅子に足を組んで腰掛…

「鬼に会ったら、怖いだろうねえ」  鄭保瑞(ソイ・チェン)

もし鄭保瑞(ソイ・チェン)から、映画監督という肩書きを外したら。着ているものを含め、彼という人間を示す属性を取り払ったら。ごく普通の運送業者か、あるいは活動に精を出す熱血青年か、あるいは日々すれ違いそうな隣家の男か……つまりは彼の外見から、…

暴れ馬の転機

「意外」が東京フィルメックスで上映された。雑誌「香港電影」9月号で特集が組まれている。鄭保瑞(ソイ・チェン)監督インタビューもあり、記者の最初の一言が面白い。 「あなたの作品を見続けて来た人は、失望するかもしれません。僕の好きだったソイ・チ…

好電影

香港映画好きたちが、複雑なため息を漏らしている。NHKスペシャル「チャイナパワー 電影革命の衝撃」。私は未見だが、ため息の原因は陳可辛(ピーター・チャン)らしい。飛ぶ鳥を落とす勢いの中国映画ビジネス。ぎらぎらした投資家たちの真ん中に、「新難…

王晶の感傷

閑話休題。週末は香港へ。目的は「旺角監獄」。今日はピーカン。気温も上がり、海風が気持ちいい。星光大道を歩く。人もビルも多いせいか、広州より温かく感じる。 香港文化センターで、催し物をチェック。来月の鄭伊健(イーキン・チェン)演唱会、元旦! …

「じっとできない」 大きな子供  葉偉信(ウィルソン・イップ)

「葉問」を見た人はみな、監督が葉偉信(ウィルソン・イップ)であることを心に留めるだろう。香港の若手・中堅監督の中で、最も優れた作り手の一人である彼は、「龍虎門」「導火線」など多くのアクション映画を撮ってきた。しかし、淡いピンクのシャツとチ…

「男くさい映画? 絶対に撮れないよ」  馬偉豪(ジョー・マー)

自作自演の舞台劇が、映画界の実力者・黄百鳴(レイモンド・ウォン)の目に止まり、“ラブストーリーの伝道師”の道を歩き出した馬偉豪(ジョー・マー)は、少年時代の夢をかなえた。彼の最初の“師匠”は、香港演劇界のリーダー・高志森(クリフトン・コウ)だ…

三剣客の協奏曲

“香港導演三剣客”が、北京のスタジオに顔をそろえた。 “喜劇の父”馬偉豪(ジョー・マー)、“ドル箱監督”葉偉信(ウィルソン・イップ)、“鬼”の鄭保瑞(ソイ・チェン)──続く記事翻訳は、香港の個性派監督へのインタビュー。現代香港映画を引っ張る、四十代の…

冬天来了

寒い。寒い。寒い。最低気温が10度を切った。スーパーもバスも校舎も、暖房のない広州。インドネシア、ベトナム、タイの同級生たちは、寒さに肩を震わせている。空っ風の日本と異なり、風は冷たく湿っている。 「サムイネ!」。韓国の女の子たちが、日本語で…

黒い油 灰色の霧 雲間の光   「証人」(08)

「ものを作る工場には、たくさん機械があります。世の中のほとんどの人は、有名メーカーの機械は手入れをして、大事に使い続けるでしょう。でも、隅に置いてある名もない機械は、壊れたら新しいものに替えられるだけです。実をいうと、この古ぼけた機械は長…

「過去の苦労は、話さないよ」  苦節20年 張家輝(ニック・チョン)

張家輝(ニック・チョン)が、“影帝”の座に就いた。ため息をついた人も多いだろう。苦節20年。小さな役を演じ続け、長い下積みに耐え、ついに今──。「証人」(林超賢=ダンテ・ラム=監督)で、香港電影金像奨主演男優賞を獲得してから半月たった。目の前に…

最大限の敬意を込めて

広州も香港と同じように、街のあちこちに新聞スタンドがある。日刊紙、週刊誌、ファッション雑誌、専門誌。隅にはライター、ティッシュなど雑貨からミネラルウォーターまで、小さなスペースにぎっしりと並べられ、奥にちょこんと店主が座っている(香港とは…

昨夜から今朝にかけて、断続的にすさまじい雨が降っている。広州は9月以降、ほとんど雨らしい雨が降らなかった。珠江の水も、目に見えて減り始めていた。雨は今も降っている。数カ月の埃を流すように。 大通りを隔てた向かいに、高層アパートがある。ベラン…

司機

北方はおしゃべり。南方は無口。逆だと思っていたので、意外だった。 タクシー運転手のお話。

與你一起時的片段

http://blog.tvb.com/teresamo/2009/03/31/%E6%80%9D%E5%BF%B5/

おっとりとした わが街 広州  「秋喜」(09)

海珠大橋。天字碼頭。れんげでかきまぜるたび、具が見え隠れする、南方風の粥。二階のバルコニーがせり出し、一階部分の雨よけになる“ショップハウス風”の建物は、湿気で黒くかびている。共産党のスパイでありながら、ゆったりと、どこか優柔不断な、郭暁冬…

青天の霹靂

目の前を、林夕が、かすめていった。